発注者と施工者の役割分担

首都高速道路株式会社東京建設局品川線工事事務所長
青木 敬幸 氏

 「施工を行う受注者に仕事をしてもらっている。その環境を整備するのがわれわれ発注者の仕事」。青木所長は、品川線の施工にあたって、受発注者間の関係をこう話す。
 首都高速道路の発注部分は、鹿島JVが施工する長さ8㌔の「北行シールドトンネル」と「五反田出入口」、そしてハザマの施工する「大橋連結路」だ。そのうち青木所長を長とする品川線工事事務所は、発注者として「北行シールドトンネル」と「五反田出入口」の工事を監督している。
 8㌔を超えるシールドトンネルからは、実に100万m3もの掘削残土が発生する。多いときで1日にダンプトラック700台分もの土を現場から運び出し、横浜の南本牧にある埋立地や東京都の中央防波堤まで輸送する。
 「今回の契約では、発注者が土砂の受け入れ先を指定することになっており、シールドの掘進を止めないようにすることがわれわれの役割だ」という。
土砂の運搬ルート
 しかし、シールド工事は多くの理由で土砂の搬出期間が変化する。また、受け入れる埋立地も期間によって受入可能量が変わる。土砂が出せなければ掘進を止めなければならない。「当事務所は、専属の社員をつけて受入先と鹿島JVの間の段取りを調整している」「施工者は責任施工が当然だが、われわれが一緒になって協力することが必要」なのだという。工事を深く理解しているのが施工側の技術者なら、首都高速道路は多くの施工者と広く仕事をしてきたノウハウを持った技術者集団だ。
 北行のシールドは、過去に2度、シールドマシンセンターカッタービットのトラブルを経験している。しかし青木所長は「そのことが逆に、長距離掘進技術の確立につながっている」と見ている。実際に掘ってみないとわからないトンネルの世界では、弱点の克服こそが経験工学として残り、次の飛躍につながる。
 青木所長は、もともと保全畑の出身だ。品川線の所長に赴任してから6月で丸3年になる。新設の工事を担当していて心がけているのは、供用後の管理をしやすくすることと、完成後には見えなくなってしまう細かい部分のデータもきちんと残しておくことだ。
 首都高速道路は、供用後に活躍の本番を迎える。安全に長く利用される道路にするのが、品川線工事事務所の役割だ。

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