地上発進・到達シールド 大井地区トンネル工事002

発進を待つシールド機

田代元所長
 地上の大井ジャンクション(JCT)と地下の品川北立坑を結ぶ大井地区トンネル。現在ここには、鯨のような巨大なセグメントが地中から2本、大きな躯体を地上に見せている。今まで例のない地上発進、地上到達を実現した円形シールドだ。
 ここで採用されたのは「URUP(ウルトラ・ラピッド・アンダーパス)工法」と呼ばれる。従来ならば地上と地下のアプローチ部は、開削工法か、立坑を設置してシールドトンネルを併用する工法が採られるが、URUPでは直接地上から外径13・6mの円形シールドを発進させ、立坑でUターンして再び地上に直接到達させる。
 この工法ならば、工期が3分の1、CO2排出量も2分の1にまで低減できる。また掘削・処理する土量も、開削がダンプ8万8000台、シールド併用で6万2000台となるのに対し、URUP工法では実に5万5000台にまで減らせる。

・実績ない、成功させねば

 現場を統括した田代良守元URUP大井JV工事事務所長は、「この工法は、実際の公共工事で採用されたことがない。それだけに、まず成功させないと」と考えた。
 URUP工法は2004年、東京都清瀬市にある大林組技術研究所敷地内で全長100mのトンネルを実際に試験施工した経験がある。この時は矩形シールドで一辺3・5mほどの大きさだったが、今回は円形で直径が13mを超える。
 「実績のないものを、大断面で採用してくれた東京都には感謝している」と田代元所長は振り返る。この初めての取り組みには、海外を含む5000人以上の見学者が現場を訪ねた。

・発進時の浮き上がり対策

 2010年3月1日、シールド機は掘進開始。シールド機は巨大な船のようなもので、水圧のある地下では強大な浮き上がり力が発生する。自分の直径より高さのある土被りがあれば、それほど気にする必要はないが、地上から発進するときは課題になる。発進時はあらかじめ地表面に盛土し、上から荷重をかけて対抗した。田代元所長は「次回、発進するときがあれば、高重量コンクリなどで浮力対策して、盛土なしで発進することもできる」と話す。
 もう一つの課題は、地中ならば上からも押さえつけられるセグメントが、上部荷重がないことで側圧を受け、縦に変形することだった。そのため、掘進時にはトンネル断面中央に、水平の仮設鋼材をつっかい棒として変形を抑制した。

→003に続く

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