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非開削でシールドをつなぐ 大橋連結路-001

シールド機の心臓部だけ再利用する
 中央環状線の新宿線と品川線は、大橋ジャンクション(JCT)を経由して3号渋谷線と分岐・合流する。品川線と大橋JCTを結びつける役割を担っているのが大橋連結路工事、新宿線と大橋連結路を接続するのがEF連結路トンネル工事だ。この2つの工事はハザマが単独で受注し、南に伸びる環状線アクセスを地下で接続するという高度な施工を行っている。大井立坑より掘進してきた2本の本線シールドと連結路シールドを山岳工法を取り入れて一体化するほか、新宿線を供用させながらシールドセグメントを切開く工事も行う。それらの工事を手がけるハザマの佐々木順一統括所長へのインタビューを含め、工事を紹介する。
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非開削でシールドをつなぐ 大橋連結路-002

地中拡幅向けにつくられたトンネルの壁面
 大橋連結路工事、EF連結路トンネル工事の現場は、供用中の大橋JCTから大井方面に分岐していく開削部の約110mの区間だけが、地上とのアクセスすべてを担う。
 シールド外径9・7mという巨大なシールドマシンで約500mの距離を上下2層で掘進し、本線と約200m区間を接続する。加えて、新宿方面から大橋JCTに向かう既存のシールドトンネルとも開削工法で接続する。
佐々木所長
 佐々木所長は「限られた敷地で、輻輳する工事をすべてマネジメントすることが、この工事の大きな克服課題だ」と話す。
 大橋連結路工事では、シールド発進基地となる立坑の土留め壁施工のためCSM工法を採用し、地上避難出口となる深さ約50mの大深度立坑をわずか120㎡の三角地帯に構築するために、泥水掘削によるアーバンリング工法(セグメント圧入ケーソン工法)を採用した。
 また、EF連結路トンネル工事では周辺の再開発ヤードと近接しているため、土留め壁を本体利用でき、建設用地幅を縮小することができるソイルセメント鋼製地中連続壁工法が採用されている。すべて限られた敷地での施工を可能にするための工夫がなされている。
 今後は切開き工事や構築工事にあたり、地上のシールド発進基地となった立坑部の防音ハウス、大橋JCT側のゲートの2カ所で輻輳する地下の工事をマネジメントしていかなければならない。

・CSM工法で“狭さ”克服

 上下2層の連結路を構築する大断面シールドの発進基地は、幅22mの山手通り支線につくられた。交通量の多い道路上から36mもの深さを持つ大深度ソイルセメント地下連続壁を構築するために、CSM工法を採用した。
 「路上での作業帯の幅はたった6mだった」(佐々木所長)というように、「狭さ」という課題を克服するために、掘削機はリーダー式の従来工法に比べ、低空頭型(H=8・5m)で圧迫感がなく周辺環境に優しい吊り下げ式とし、この作業帯で施工可能なクアトロサイドカッターを製作した。

・シールド駆動部を再利用

 一昔前に比べ、シールド機の掘進延長も、現在では10㌔近い長さを1基で掘進できるようになってきた。連結路のトンネルは長さが約500mだが上下線で2本が必要だ。高価なシールド機は、工事に合わせて製作するので転用が難しい。延長の短いシールドトンネルのコスト縮減のため、シールド機を転用するDSR工法を採用した。
 このマシンは、シールドの面盤を回転させる駆動部の内胴と外胴の二重構造となっている。下層のトンネルを掘り終えたあと、重要な駆動部を引っ張り出して発進基地まで戻し、上層トンネルにもう一度利用する。「大断面でのDSR工法の実績は、世界でも例がない」(佐々木所長)という。
 引き抜いた駆動部は、2日かけてジャッキを使いながら切羽から戻し、立坑で上層トンネル掘進を待つ2台目のシールド機外胴部に組み込まれた。
 この工区の地盤は上総層というしっかりした泥岩で、駆動部を引き抜いたあとの鏡(トンネル切羽の最先端部分)は自立し、地山がそのまま観察できるほどだった。
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非開削でシールドをつなぐ 大橋連結路-003

右側は、車両が通行する新宿線のシールドトンネル外面
・営業線との地中接続

 SJ14工区(1)EF連結路トンネル工事は、すでに交通が行き交う供用済路線のシールドトンネルを切開くという前代未聞の工事だ。中央環状新宿線から大橋JCTに入ってくるシールドのセグメントを、開削工法で構築する躯体と地中で接続する。
 すでに新宿線は供用されており、開通時に設置されているプロテクター壁1枚を隔てて一般車が通行している。現在は躯体を施工中で、今後躯体が完成した時点で供用されている新宿線のセグメントの一部を外し、最終的にプロテクターを撤去すると、品川線から大橋JCTに向かう大橋連結路下層の交通と合流することになる。

・安全はすべてに優先

 佐々木所長は、中央環状品川線大橋連結路工事、SJ14工区(1)EF連結路トンネル工事、大橋連結路トンネル内装その他工事など錯綜する現場を監理している。
 佐々木所長の方針は「安全はすべてに優先する」だ。工事の計画から実際の作業手順の作成、現場全体への周知、そして作業時の確認という基本の安全施工サイクルにこだわる。
 「ここは、本当に狭い範囲にまったく異なった複数の現場が1つの軸を中心に動いている。安全に工期内完成という大きな目標に向かい、皆の力を結集していきたい」
 ハザマの精神は『微結』。戦後の復興期から、一人ひとりは微力であっても、結集すれば大きなエネルギーを発揮できる、という微粒結集を社是に活動してきた。この現場にあっても、その当時の社是は生きている。

・都市土木と山岳工法のハイブリッド

工事の概要図
 大橋連結路の工事を一言でいうならば、「都市土木と山岳工法のハイブリッド」だろう。シールドトンネルという都市土木の構造物同士を、構築後に山岳工法を取り入れて連結する。大井地区から掘進してきた8㌔もの長さのシールドトンネルを、大橋地区から掘り進んだ500mのシールドトンネルからつなぐ。これまでに例のない工事となる。
 通常、シールドトンネルは、水密性が重要視されセグメントを内部から外すという概念はなかった。ところが大橋連結路工事では、200mにわたって隣接するトンネル間にある土をNATMで掘削、アーチ型セグメントで連結した後、中間部のセグメントを慎重に外し分合流部を構築する。
 この工法が実現したのは、硬い粘土層である泥岩を基盤とした上総層群というしっかりした地質であったことが大きな要因である。
 分合流部は、タイプAからDまでの4種類の断面で設計され、内空断面の余裕により拡幅の必要がないタイプA区間、本線のセグメントの一部を入れ替えて拡幅するタイプB区間、そして本線、連結路2本のトンネルを切開いて一体化する大断面無柱のタイプC区間、本線、連結路2本のトンネルを切開いて一本柱を新たにつくるタイプD区間で構成されている。
 施工は、到達したシールド機のスキンプレート(外胴部)を内側から2mほどの幅で切り取り、まず人力で機械が入るほどの空間を確保する。その後、上半部に小型の掘削機械を入れて、隣接する本線シールドセグメントの外側まで掘削していく。
 切羽側からシールドの発進基地方向に掘り進み、山岳工法でおなじみのアーチ支保工と吹付けコンクリートでトンネルを形成する。もちろん施工メンバーは、シールド技術者と山岳技術者が参加する。
 タイプC区間では、もともとシールドセグメントに仕込んでおいた接続部に、上半5分割、下半4分割のアーチ型セグメントを組み立てる。その後、中間部の土を掘削して、慎重にシールド内側から本線と連結路のセグメントを撤去していく。
 この工事の課題は本線、連結路シールドトンネルの許容誤差だ。1本のシールドトンネルのセグメントリングを組立てるのは既存の技術で施工できるが、別々に掘進したトンネル同士を結ぶアーチ型セグメントとなると話は別だ。トンネル軸方向でいえばトンネル同士のセグメントリング主桁位置のずれを5cm以内に収める必要がある。また、断面方向でいえばトンネル基線からのずれが5cm程度あるため、測量により出来形を確認してセグメントを製作しなければならない。シールドトンネルとの接続部のアーチ型セグメントは「オーダーメード」だ。現地での測量を元に、セグメント製作図面を書き下ろし、発注して1.5カ月で完成する。これまでの都市土木とは違う地中拡幅工事は、これから本番を迎える。

工事概要
 〈中央環状品川線大橋連結路工事〉
▽発注者=首都高速道路株式会社
▽工事内容=開削部(山手通り支線部)長さ55m、掘削幅13-22m、掘削深度33m、非開削部(シールド部・接続部)上層トンネル500m(うち接続部210m)、下層トンネル480m(同180m)、シールド機外径9.7m、地上避難出口1カ所、掘削深度約50m、掘削外径5.1m
▽工期=2007年5月22日-13年6月30日

〈SJ14工区(1)EF連結路トンネル工事〉
▽工事内容=開削部(大橋JCTヤード部)長さ65m、掘削幅12-22m、掘削深度30m、ソイルセメント鋼製地中連続壁約2,000㎡、躯体工約7,500m3、切開き工40m
▽工期=09年9月25日-13年12月2日
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