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世界最大最長級シールド 本線大井行トンネル001

 大橋ジャンクションから進んできた交通が、湾岸線とリンクする地点となる大井。品川線の建設では、この大井行シールドトンネルは、大井から大橋へと掘進する。全長8㌔、外径12m以上の世界最大最長級シールドトンネルを、高度かつ精緻に組み立てた計画で掘りあげる。「中央環状品川線シールドトンネル工事-2」を施工する大成・大豊・錢高建設共同企業体を率いる大成建設の谷口敦作業所長に、シールドトンネル工事に不可欠なポイントを話してもらった。

→002に続く

世界最大最長級シールド 本線大井行トンネル002

掘進に使われたシールド機
 全長8㌔、マシン外径12・53m。いままでに、1基のシールド機で掘られたこれほどの大断面長距離トンネルがあっただろうか。品川区八潮の大井ジャンクション(JCT)付近の品川北立坑から発進したシールド機は、京浜運河をくぐり、目黒川下を東に掘進、大崎駅付近で山手通り下に進路を変え、はるか目黒区青葉台にある大橋JCTを目指す。この工事は、間違いなく世界最大級のシールドトンネルだ。
谷口所長
 この工事で達成した最大の月進量は、2010年10月に記録した637mだ。1日での最高は38mも進んだ。谷口敦所長は「本掘進が始まってから、ほぼコンスタントに1カ月あたり500m進み、震災や支障物による休止期間を除き8㌔を17カ月間で掘り終えた」と話す。
 これまで大成建設として手がけてきた直径12mを超えるシールドトンネルでは、神田川調整池で月進約300m、中央環状新宿線で200m程度だったことに比べると、品川線では2倍から3倍ものスピードが達成されたことになる。
 東京都が発注した大井行のこのトンネルは、入札が2度行われたために1年間スタートが遅れた。この遅れを取り戻すことも時間との闘いの理由となっている。

・すべてが重要な役割

 谷口所長は「8㌔の工事全体が一つの工場ラインのように、互いに関連性を持ち、すべての作業が重要な役割を担いながらつながっている」と話す。
 トンネル先端では、シールド機が土砂を掘り出す。この長距離を掘進すると掘り出す土砂量は100万m3に達する。この量は、霞が関ビル1棟分に匹敵する。
 マシンに後続して各種の台車が連なり、土砂は連続したベルトコンベヤーで運搬される。シールド機が掘進した後、トンネル本体となるセグメントを搬入しなくてはならない。
 トンネル本体の構築が終わっても、道路をつくるための床版や、隣接する北行トンネルとの間をつなぐ避難路と車両のUターン路の構築工程が追いかけてくる。これらの資材も掘進と同時に進めなければならない。
 「長いトンネルの中で、4つから5つの工事を同時に進めているため、資材の搬入、運搬では10分単位での工程を組んでいる」(谷口所長)というように、高度にライン化された工程管理が要求された。
 このクリティカルな工程を、8㌔もの距離で実現するには「すべての設備について、きめの細かいメンテナンスが要求される」という。例えばシールド機に30基装備されているジャッキの電磁弁が1つ壊れただけでも、ライン全体に影響が出る。掘削土を排出するベルトコンベヤーは往復で16㌔以上の距離になるが、ベルトを支えるローラーが壊れても結果は同じだ。
 「各設備には専門の要員を配置し、定期的な点検とメンテナンスを徹底的に行った」。不具合はすぐに発見し、先手管理で修理をする。「メンテの悪さやコストダウンの行き過ぎで工期が延びては本末転倒。早い時点で判断し“先行投資”してきた効果を工事が進むほどに実感した」という。

・同時施工に工夫

 シールドを掘進しセグメントを組み立て、トンネルの躯体が完成しても、道路トンネルとして使用するためには、床版やそれを受けるための側壁、避難時の横連絡坑、緊急車両が通るUターン路などが必要だ。この工事ではこれらも同時施工を行っている。
 この現場では、シールド延長と同じ長さでコンクリート打設量5万m3の床版工事に加え、首都高速道路が並行して施工する北行トンネルと地下40mで接続する11カ所の横連絡坑と3カ所のUターン路を同時に施工している。連絡坑では矩形鋼殻推進工法を採用、Uターン路では曲線パイプルーフを採用して切開き施工を行った。シールド掘進工事中にこれほど大規模な接続工事を進めることは過去の工事ではなかった概念だ。横連絡坑での牽引ジャッキを使用した刃口推進工法やUターン路の曲線パイプルーフとセグメントの接続方法などは、今回の工事で新たに考え出した工法だ。
 トンネル本体を掘りながらの複数の工種を同時施工するためには、新しい発想や工夫のほかに、工事関係者全員の協力が欠かせない。「これほどの難工事をほぼ計画どおりに進められたのは、ともに働く45人の職員と専門工事業者の技術面での成長とチームとしての一体感があった」からだ。

・新宿線から品川線計画立案へ

 谷口所長は、品川線に先行して8年以上におよび中央環状新宿線の現場を経験している。その後、総合評価制度による設計施工入札の品川線計画立案に携わった。2度に渡る入札となったが、ベルコンなどシールド設備仕様や床版工法などをすべて変えて落札した。インバートの高さもバッテリー運搬車が複線で使えるような工夫をしている。
 「アクアラインや新宿線の大断面シールドの経験を踏まえ、様々な要素技術をブラッシュアップして今回の計画を行った。品川線シールドは大断面長距離シールドの集大成だと思っている」

→003に続く

世界最大最長級シールド 本線大井行トンネル003

2011年12月に掘進完了
・品質確保と高速施工を両立

 標準的なシールド工法でこのトンネルを施工すると、掘進作業と組立作業はそれぞれ独立した形で行うため、月進500mの達成は難しい。
 ここで採用した「セグメント掘進同時組立システム」では、シールドジャッキのブロック分割式の油圧制御と自動のマシン方向制御システムにより、掘進中に組立部分の掘進ジャッキを抜きながらセグメントを組み立てることで、幅2mのセグメント掘進~組立を60分台で完結することを実現。高速掘進で大きな役割を果たした。また、外径12.3mのセグメントの組立精度は、規格値250分の1に対して500分の1以下、真円誤差もプラスマイナス20mm以内という高い品質精度を確保した。

・掘削土砂の海上輸送

京浜運河を使って土砂を搬出
 100万m3という膨大な掘削土砂を運び出すために、現場西方向にある京浜運河から海路を利用して輸送を行った。シールドマシンの搬入時にも海路を利用してシールド機組立期間を数カ月短縮した。土砂搬出では都道上に設置した横断ベルコンを介して、シールド掘削土砂を容量500m3の曳船土運船に載せ、中央防波堤の中継基地まで輸送した。その後、中央防波堤に仮置きした土砂は容量1,500m3を大型土運船に積み、横浜港南本牧の港湾埋立地に海上経由で運搬した。これらの海上利用は、大型工事が輻輳する中で、極力工事車両を減らし、周辺交通への負担軽減と工事中のCO2排出削減に大きく寄与した。

工事概要
▽工事場所=品川区八潮1丁目~目黒区青葉台4丁目
▽発注者=東京都
▽施工者=大成・大豊・錢高建設共同企業体
▽工事内容=シールド機:泥土圧式マシン外径12.53m、掘進延長約8.0㌔、一次覆工7,967m、道路床版6万0,040㎡、横連絡工11カ所、Uターン路3カ所、発生土処分97万5,000m3

→本線北行トンネル編に続く