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初めてづくしの大規模工事

東京都第二建設事務所品川線建設担当課長
後藤 広治 氏

 長さ8㌔の「中央環状品川線シールドトンネル工事―2」と、URUP工法による地上との接続部「大井地区トンネル工事」、「大井ジャンクション(JCT)」、そして大井北、南品川、五反田、中目黒の4つの換気所が、東京都の担当する品川線の工事だ。
 「日本で初めての技術が非常に多い工事」というように、これらの現場ではショーケースのように先端技術・工法が使われている。
 直径12mを超える超長距離シールドトンネルに加え、URUP工法は日本初の地上発進、地上到達シールド工法だ。また大井JCTでは、当時日本で最大の1250tクラスの大型クレーンを使い首都高速湾岸線の上に、長さ60m、重さ300tの桁を一括架設した。
 「初めての技術ということは、想定外の出来事がいつ起こるかわからないということでもある」。後藤課長は、これまでを振り返る。昨年4月には、本線シールド機が残置されていたPC鋼線を巻き込み、掘進がストップした。施工側に責任はなく、誰も想定できないトラブルだった。幸い2カ月程度で掘進を再開できたが、前の見えない地中では、何が起こるかわからない。
 「工事は24時間進められています。大みそかに電話で呼び出されることもあった」と、常に緊張を強いられた。

大井JCTでは超大型クレーンで桁を一括架設

 後藤課長は3年前に着任した時は、前任の課長が事業説明会19回、意見交換会40回を開催し全線で工事が着手していた。「自分が2009年夏に着任した時は、着手していた工事をいかに止めずに施工に弾みをつけるか、が自分の役目だった」と考えていた。
 発注者として、地元への説明や共同事業者である首都高速道路とのやり取りなど、さまざまな調整が発生する。安全面についても専任の安全担当者を置くようJVに要請し、西新宿の本庁を含めたパトロールも行って不安全行動の撲滅に努めている。
 また技術提案方式(詳細設計付)の発注では、従来発注者が持っているはずの設計データがなく、検査方法や毎年の支払いなど事務処理作業も大きく異なっている。限られた人員の中で、住民、区役所から信用のある「東京都の看板」を背負っているという責任感を持って職員とともに工事にあたっている。

発注者と施工者の役割分担

首都高速道路株式会社東京建設局品川線工事事務所長
青木 敬幸 氏

 「施工を行う受注者に仕事をしてもらっている。その環境を整備するのがわれわれ発注者の仕事」。青木所長は、品川線の施工にあたって、受発注者間の関係をこう話す。
 首都高速道路の発注部分は、鹿島JVが施工する長さ8㌔の「北行シールドトンネル」と「五反田出入口」、そしてハザマの施工する「大橋連結路」だ。そのうち青木所長を長とする品川線工事事務所は、発注者として「北行シールドトンネル」と「五反田出入口」の工事を監督している。
 8㌔を超えるシールドトンネルからは、実に100万m3もの掘削残土が発生する。多いときで1日にダンプトラック700台分もの土を現場から運び出し、横浜の南本牧にある埋立地や東京都の中央防波堤まで輸送する。
 「今回の契約では、発注者が土砂の受け入れ先を指定することになっており、シールドの掘進を止めないようにすることがわれわれの役割だ」という。
土砂の運搬ルート
 しかし、シールド工事は多くの理由で土砂の搬出期間が変化する。また、受け入れる埋立地も期間によって受入可能量が変わる。土砂が出せなければ掘進を止めなければならない。「当事務所は、専属の社員をつけて受入先と鹿島JVの間の段取りを調整している」「施工者は責任施工が当然だが、われわれが一緒になって協力することが必要」なのだという。工事を深く理解しているのが施工側の技術者なら、首都高速道路は多くの施工者と広く仕事をしてきたノウハウを持った技術者集団だ。
 北行のシールドは、過去に2度、シールドマシンセンターカッタービットのトラブルを経験している。しかし青木所長は「そのことが逆に、長距離掘進技術の確立につながっている」と見ている。実際に掘ってみないとわからないトンネルの世界では、弱点の克服こそが経験工学として残り、次の飛躍につながる。
 青木所長は、もともと保全畑の出身だ。品川線の所長に赴任してから6月で丸3年になる。新設の工事を担当していて心がけているのは、供用後の管理をしやすくすることと、完成後には見えなくなってしまう細かい部分のデータもきちんと残しておくことだ。
 首都高速道路は、供用後に活躍の本番を迎える。安全に長く利用される道路にするのが、品川線工事事務所の役割だ。